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目次
- 2022映画化されそうでされていない小説50選
- 舞台
- もういちど生まれる
- モダンタイムス
- スロウハイツの神様
- 透明カメレオン
- 砂漠
- コンビニ人間
- 夜行
- サラバ!
- 教団X
- レプリカたちの夜
- ぼくときみの半径にだけ届く魔法
- 小暮荘物語
- ミナトホテルの裏庭に
- 明るい夜に出かけて
- 四月になれば彼女は
- 物語のおわり
- ドミノ
- 神様の裏の顔
- あなたはここで、息ができるの?
- スペードの3
- ネクロポリス
- #チャンネル登録してください
- BUTTER
- イマジン?
- 試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。
- Q&A
- 52ヘルツのクジラ
- スモールワールズ
- 推し、燃ゆ
- ひと
- 三千円の使いかた
- 私にふさわしいホテル
- 傲慢と善良
- 同性同名
- 昨日星を探した言い訳
- 少女は卒業しない
- また、同じ夢を見ていた
- 崩れる脳を抱きしめて
- ラストは初めから決まっていた
- 一分間だけ
- 彼女は頭が悪いから
- つみびと
- ツバキ文具店
- 強運の持ち主
- オルタネート
- 自転しながら公転する
- 夜行秘密
- 生きてさえいれば
- 電子書籍を読むなら
- まとめ
2022映画化されそうでされていない小説50選
舞台
西加奈子
自意識過剰な青年・葉太が繰り広げる切なく、馬鹿馬鹿しいドラマ。29歳の葉太は初めての海外旅行でニューヨークを訪れるのだが、滞在初日に盗難に遭い無一文になってしまう。羞恥心と虚栄心に縛られ、助けを求めることができぬまま、見知らぬマンハッタンを1人で彷徨う羽目に。
決死の覚悟で街歩きをする葉太の人知れない成長記録。「生きているだけで恥ずかしい」という葉太の気持ちは誰もが共感でき、観る人に人生の在り方を教えてくれるはず。
もういちど生まれる
朝井リョウ
彼氏がいるのに、別の人にも好意を寄せられている汐梨。バイトを次々と替える翔多。絵を描いて母を想う新。姉が大嫌いな双子の妹、梢。自分の才能に限界を感じながらダンスを続ける遥。
全員が恥ずかしいプライドや焦りを抱えながらも、一歩ずつ踏み出そうとしている。若者が感受できる特有の気持ちが存分に含まれた青春小説。高校生や大学生、恋愛している人や失恋してしまった人にもオススメな「エモい」物語。
モダンタイムス
伊坂幸太郎
システムエンジニアの渡辺拓海が請け負った仕事は、出会い系サイトの仕様変更。だが、そのプログラムには不明な点も多く、発注元すらわからない。そんな中で、プロジェクトメンバーの仲間の元を次々と不幸が襲う。
彼らはある複数のキーワードを同時に検索していたのだ。謎の検索ワードは過去の事件の真相を探れと仄めかしていたようで…現代社会に眠る闇と徐々に明かされていく真相の愉しさが詰まった傑作エンターテイメント。
スロウハイツの神様
辻村深月
「人気作家のチヨダ・コーキの小説で人が死んだ」。あの事件から10年が経ち、アパート「スロウハイツ」ではオーナーで脚本家の赤羽環とコーキ、友人達が共同生活を送っていた。
夢を語ったり、物語を作ったり、好きなことに没頭していた6人だったが、空室だった201号室に新たな居住者が加わることで、「スロウハイツ」の人間関係が少しずつ変わっていく。ミステリー要素あり、ファンタジー要素あり、何より居住者の魅力的なキャラクターはドラマにピッタリ。
透明カメレオン
道尾秀介
ラジオパーソナリティの恭太郎は綺麗な声と冴えない容姿の持ち主。バー「if」の常連の話を面白おかしくリスナーに聴かせていた。大雨の夜、雨に濡れた美女がバーに迷い込んできて、彼らは殺害計画を手伝わされてしまう。
意図が不明の指示に振り回されて、一緒の時間を過ごす内に恭太郎は美女に心惹かれていく。恭太郎の秘められた想いに胸が響き、ミステリー要素も含まれたドラマ的な展開は必見。
砂漠
伊坂幸太郎
大学で出会った5人組の男女。合コン、ボウリング、麻雀、通り魔犯、捨て犬の救出、超能力対決…共に体験した出来事がお互いの絆を深め、成長させていく。未熟さに悩んだり、過剰さを持て余したり、それでも何かを求める若者達の青春時代。
二度とこない季節の光と闇をパンクロックのビートに乗せて描くいた爽快感満点の長編小説。みずみずしい青春を送る5人の姿を大きなスクリーンで観たら、「あの頃に戻りたい」と思わざるを得ない。
コンビニ人間
村田沙耶香
主人公の古倉恵子はコンビニバイト歴18年、彼氏なしの36歳。毎日毎日コンビニ食を食べ、夢の中でさえレジを打ち、店員でいるときだけが世界の歯車になれる。「いらっしゃいませ!」の掛け声が安らかな眠りをもたらしてくれる。
ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて、そんなコンビニ中心の生き方は恥ずかしいと罵られてしまう。「普通」とは何かという普遍的なテーマは、観る人に社会の一員としてどう生きるかを考えさせてくれる。
夜行
森見登美彦
十年前に同じ英会話スクールで出会った六人の仲間が鞍馬の火祭を見物に行った夜、メンバーの長谷川さんが姿を消した。十年ぶりに火祭に出かけることになったのは誰ひとりとして彼女を忘れられなかったから。
それぞれが旅先での不思議な出来事を語り始める。尾道、奥飛騨、天竜峡、津軽。全員が岸田道生という銅版画家が描いた「夜行」という絵画を目撃していた。長谷川さんはなぜ消えたのか?京都を舞台にした不思議な怪談話は、美しい映像で観てみたい。
サラバ!
西加奈子
圷歩は父の海外赴任先であるイランで生を受けた。両親と問題児の姉と一緒にイラン革命のために帰国を強いられた歩は大阪で新生活を始める。幼稚園、小学校とすぐに周囲に溶け込めた歩と違い、姉は「ご神木」と呼ばれ周囲から孤立していった。
そんなとき、父の新たな赴任先であるエジプトへ住まいを移し、日本人学校に入学した歩はヤコブという少年と出会うことになる。強烈な姉と姉に悩む家族、主人公との空気感、ラストのヤコブとのシーンと、惹き込まれる人も多いに違いない。
教団X
中村文則
自分の前から忽然と姿を消した女性を探して楢崎が辿り着いたのは、奇妙な老人の宗教団体、そして、彼らと敵対する謎のカルト教団。二人のカリスマの間で、四人の男女の運命が入り混じり、遂には教団は暴走して、この国の根幹から揺さぶり始めることに。
神とは何か。運命とは何か。闇とは、光とは。壮大なストーリーは簡単に映像化できるものではないが、小説同様に魂のこもった肉厚な作品になることは間違いない。
レプリカたちの夜
一條次郎
動物レプリカの工場に勤務する往本がシロクマを目撃したのは深夜十二時過ぎ。絶滅したはずの本物か、ましてや産業スパイか。「シロクマを殺せ」と命じられた往本は、やがて混沌と不条理の世界に迷い込んでいく。
卓越したユーモアセンスと圧倒的な筆力で描き出す世界観は必見。ミステリーともSFとも枠組みできないような不思議な世界に魅了される人もいるはずで、村上春樹のような掴み所のなさは映画館でも観てみたい。
ぼくときみの半径にだけ届く魔法
七月隆文
売れないカメラマンの仁はある日、窓辺に立つ美少女の陽を偶然カメラに収める。難病で家から出られない陽は毎日部屋の中で風景写真を眺めていた。「外の写真を撮ってきて頂けませんか?」陽に頼まれ、仁はさまざまな景色を届けることになる。
美しい風景写真を通して、少しずつ少しずつ距離を縮める二人。しかし、ある出来事がきっかけで、陽が失踪してしまう。映像化にピッタリな号泣必須の王道ラブストーリー。
小暮荘物語
三浦しおん
小田急線世田谷代田駅から徒歩五分、築何十年のぼろアパート木暮荘。現在の居住者は四人。一階には死ぬ前にセックスするために愛を求める大家の木暮と、とある事情から刹那的な恋に嵌る女子大生の光子。
二階には光子の日常を覗くことに生きがいを見出したサラリーマンの神崎と、三年前突然姿を消した恋人を想いながら別の男性からの愛を受け入れた繭がいる。安普請であるがゆえに感じられる人と人とのぬくもりと、ぼろアパートだからこその他人との繋がりは、ほのぼのと観る人の心に刺さるはず。
ミナトホテルの裏庭に
寺地はるな
祖父から大正の末期に建てられた宿泊施設「ミナトホテル」の裏庭のカギ捜しを頼まれた芯輔。お礼の金一封につられて出かけた先は、わけありのお客だけを泊める、一風変わったホテルだった。
更には、失踪したホテルの猫探し、ミナトホテルの仕事までも手伝う羽目に。ドタバタなストーリー展開と心温まる人間模様は世代を問わず楽しめるはず。日々の暮らしに癒しを与えてくれる感動作。
明るい夜に出かけて
佐藤多佳子
富山はある事件をきっかけに心を閉ざしてしまい、大学を休学して海の近くの街でコンビニバイトを始めた。バイトリーダーで歌い手の鹿沢、ラジオ好きの少女佐古田、旧友の永川と交流していくうちに色を失った世界が段々と蘇っていく。
実在の深夜ラジオを織り混ぜ、夜を彷徨う若者達の繋がりと孤独を温かく描いた青春小説。今もどこかにいそうなリアルな四人の掛け合いと深夜ラジオで繋がる絆が魅力的で、話題性も抜群。
四月になれば彼女は
川村元気
四月、精神科医の藤代のところに恋人ハルから手紙が届いた。だが、藤代は一年後に愛しているのかわからない恋人の弥生と結婚することを決めていた。失った恋に翻弄される十二ヶ月という長い月日が始まる。
なぜ、愛も、恋も、やがて過ぎ去ってしまうのだろうか。恋愛なき時代における恋愛小説は胸をえぐられ、切なさが溢れ出す。舞台の一つであるウユニ塩湖でのシーンはぜひ観てみたいし、それ以外の美しい風景のシーンも映像として映えるはずだ。
物語のおわり
湊かなえ
妊娠して三ヶ月で癌が発覚した智子、父親の死をきっかけにプロのカメラマンになる夢を諦めようとする拓真、志望した会社に内定が決まったものの自信が持てない綾子、娘のアメリカ行きに反対する水木、仕事一筋で証券会社に勤務してきたあかね。
人生の岐路に立った彼らは、北海道へ一人旅をすることに。そんな旅の途中で渡された紙の束は「空の彼方」という結末のない小説だった。北海道へ旅に出たくなるようなこの物語は、リレー形式のドラマとして観てみたい。
ドミノ
恩田陸
一億円の契約書を待つ締切直前のオフィス。オーディション中に下剤を盛られる子役少女、推理力を競う大学生、別れを計画する青年実業家、待ち合わせ場所に辿り着けない老人。真夏の東京駅では、27人と一匹の登場人物が何かが起こる瞬間を待っていた。
迫りくるタイムリミット、見知らぬ者同士がすれ違い、運命のドミノは次々と倒れていく。スピード感溢れるパニックコメディの傑作で、映像化したらハラハラドキドキの展開に息を呑むこと間違いなし。
神様の裏の顔
藤崎翔
神様みたいな清廉潔白な教師、坪井が逝去した。その通夜は悲しみで包まれ、誰もが涙した。はずなのに、参列者達が神様を偲ぶ中、とんでもない疑惑が浮上する。実は坪井は凶悪な犯罪者だったのでは?
坪井の娘、後輩の教師、教え子のアラフォーと今時のギャル、ご近所の主婦にお笑い芸人。二転三転する彼らの推理、どんでん返しの結末に話題騒然。サスペンスなのか、ミステリーなのか、コメディなのか。飽きずに楽しめるザ・エンターテイメント。
あなたはここで、息ができるの?
竹宮ゆゆこ
主人公の私は二十歳の女子大生で、SNS中毒者で、アリアナ・グランデに憧れている。でも、目の前に今あるのは、倒れたバイクと潰れたヘルメット。そう、交通事故に遭ってしまったのだ。
そこで死を覚悟した瞬間から、青春の繰り返しが始まることに。何度繰り返しても、避けられない。息が止まるほどに激しく、熱く揺さぶられる魂と恋の物語。恋愛×タイムリープの面白さを映像でどう表現するのか観てみたい。
スペードの3
朝井リョウ
ミュージカル女優つかさのファンクラブのリーダー美知代。あるとき、小学校の同級生の出現によって美知代の立場が危うくなってしまう。美知代を脅かす彼女にはある目的があったのだ。
つかさに憧れを抱く冴えないむつ美と、かつては人気を誇っていたが、最近ではオファーが減る一方のつかさ。それぞれ不満を抱えた三人の人生が交差し、動き出していく。女性のドロドロとした世界をうまく表現しており、ミュージカルという舞台も映像化に向いているはず。
ネクロポリス
恩田陸
日本と英国の文化が融合した世界「V.ファー」の「アナザーヒル」には、死者と交流するための「ヒガン」と呼ばれる行事が毎年行われる。「V.ファー」で連続殺人事件が発生した年に、 聖地である「アナザーヒル」でも事件が起きてしまう。
犯人探しが進む中、不思議な風習で彩られた「アナザーヒル」が変容し、形を変えていく。ファンタジーのような、ミステリーのような茫洋とした世界観は、ぜひスクリーンで体験したい。
#チャンネル登録してください
藤石波矢
大学で出会った彼女は大人気ユーチューバーだった。恋も、悩みも、青春の答えは全て配信の中にある。「ユーチューバー、やってみない?」と僕を誘ってくれたのは、大学で知り合ったユーチューバーの環花。
誰からも可愛いと褒められる彼女も、僕と同じように顔についての悩みを抱えていたのだった。カメラが回れば、個性も武器にできる。悩める大学生の恋と成長を描いた青春小説。応援したくなるような感動の物語は、あらゆる若者に受け入れやすい。
BUTTER
柚木麻子
男達から次々とお金を奪った末に、三件もの殺害容疑で逮捕された女、梶井。世間を賑わせた理由は、彼女が若くも美しくもない容姿だったから。
週刊誌で働く三十代の女性記者・里佳は梶井への取材を重ねていくうちに、欲望に忠実な彼女の言動に振り回されるように。濃厚で、とろけるような背徳感をイメージする「バター」のタイトルの意味に納得。料理の描写も映像として観てみたい小説。
イマジン?
有川ひろ
憧れの映像制作の現場に飛び込んだ良助。業界用語が飛び交う現場に戸惑う毎日だが、そこは現実と物語を繋げる魔法の世界。やがて良助は、仲間達が作品に傾ける情熱に焦がれるように、想いを募らせていく。
走るしか能のない新米がひたすら未来に向かって突っ走る。行お仕事小説&ベタ甘なラブコメディー。映画やドラマの裏側の世界を描いたからこそ映るメッセージは、きっと観る人の心を揺さぶるに違いない。
試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。
尾形真理子
その広告ポスターが女子達の間で話題になっていた。 若い女性に大人気の蜷川実花の写真とともに綴られる胸がキュンとするような言葉の数々。
「魔法を一着、買って帰ろう。」「新しい服を買うと、違う恋が欲しくなる。」「ワンピースを着た日は、彼とケンカにならない。」などなど。そんな女の子達の恋心を代弁してきた著者の至極の恋愛小説。恋する女の子の切ない気持ちがむず痒く、共感する女性も多いはず。
Q&A
恩田陸
都下郊外の大型商業施設において、重大な死傷事故が発生する。死者69名、負傷者116名、原因を特定できずに時間だけが過ぎていく。多数の被害者と目撃者が招喚されるが、ことごとく食い違う証言の数々。
防犯ビデオに写っていたものは?異臭は一体?ぬいぐるみを引きずりながら歩く少女の正体は?果たして、本当に事故なのか?Q&Aだけで進行していくスリルとテンポ満載のエンターテインメント。映像化しても面白そうな作品。
52ヘルツのクジラ
町田そのこ
52ヘルツのクジラとは、他の鯨が聞き取れないほど高い周波数で鳴く世界で一頭しかいないクジラ。たくさん仲間がいるはずなのに何も届かないし、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われているクジラ。
自分の人生を家族に搾取されてきた貴瑚は、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年と出会う。孤独ゆえに愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会うことで、新たな魂の物語が生まれる。クライマックスにかけての波にどんどんと呑み込まれ、目が離せなくなる。
スモールワールズ
一穂ミチ
夫婦円満を装う主婦、家庭に恵まれない少年、秘密を抱えて出戻ってきた姉と再び暮らす高校生の弟、初孫の誕生に喜ぶ祖母と娘家族。人知れずに手紙を交わし続ける男と女、向き合うことができなかった父と子ども。
大切なことを言えずに別れてしまった先輩と後輩。人の悲しみに寄り添いながら喜怒哀楽を描き尽くす。家族をテーマにしたそれぞれの物語、余韻の残る結末を映像でどう表すかが楽しみ。
推し、燃ゆ
宇佐見りん
アイドルグループ「まざま座」のメンバー上野真幸の大ファンであるあかり。人生を引きずり、祈るようにして推しを推す。推しが自分の全てで、推しに何かがあれば自分の精神さえ不安定になる。そんなある日、推しがファンを殴ったという理由で炎上してしまう。
あかりの推しに対する情熱はどんどんとエスカレートし、破滅へと向かっていく。「推し活」をする人の心理をうまく捉えており、映像としてどのように表現されるのかが楽しみな物語。
ひと
小野寺史宜
女手一つで僕を東京の私大に進ませてくれた母が急死した。柏木聖輔は二十歳の秋に独りになった。大学は中退、就職先のあてもない。そんなある日、空腹に負けて砂町銀座商店街の惣菜屋に吸い込まれていく。
最後に残った五十円のコロッケをお婆さんに譲ったことから不思議な縁が生まれていくのだった。真っ直ぐに前を向いて歩いていくことの大切さを教えてくれ、観る人々に安心感と前進力を与えてくれるに違いない。
三千円の使いかた
原田ひ香
就職して理想の一人暮らしを始めた美帆は貯金が三十万。結婚前は証券会社に勤務していた姉の真帆は貯金六百万。習い事に熱心で向上心の高い母の智子は貯金百万弱。そして、一千万円を貯めた祖母の琴子。
御厨家の女性達は人生の節目とピンチを乗り越えるために、お金をどう貯めて、どう使うのだろうか。知識が深まり、元もとれちゃう節約家族の物語。身近すぎるテーマはテレビの前のお茶の間の家族にウケること間違いなし。
私にふさわしいホテル
柚木麻子
文学新人賞を受賞した加代子は憧れの小説家になれる。はずだったのだが、同時受賞者は元人気アイドル。全ての注目をかっさらわれ二年半が経った頃、依頼もないのに「山の上ホテル」にカンヅメになった加代子のもとに、大学の先輩・遠藤が訪ねてくる。
大手出版社勤務の遠藤から、ホテルの上の階で大御所作家・東十条が執筆中と聞く加代子はある計画を企てる。文学史上最も不遇な新人作家の激闘の物語。ドタバタ感ある展開は長編映画でも飽きることなく楽しめそう。
傲慢と善良
辻村深月
婚約者である坂庭真実が忽然と姿を消してしまった。その居場所を探すために西澤架は彼女の過去と向き合うことに。悪意のない偏見やラベリング、見下し、見下されること。
生きていく痛みと苦しさ、その先にあるはずの幸せ。現代人が持つ傲慢と善良がリアルに浮き彫りにされる表現は圧巻。内面を抉られるようなセリフやシーンの数々は、観る人の心に刺さって離れないだろう。
同性同名
下村淳史
大山正紀はプロサッカー選手を目指す高校生だ。スタジアムに自分の名が轟くのを夢見て練習に励む中、日本中が怒りと悲しみに駆られた女児殺人事件の犯人が捕まる。週刊誌が暴露した実名は「大山正紀」。
報道された後、不幸にも殺人犯と同姓同名となってしまった大山正紀達の人生が狂い始めていく。一度でも自分の名前を検索したことのある、私たちの物語。散りばめられた叙述トリックを映像にするのは難しいかもしれないが、伏線回収の爽快さをぜひスクリーンで観たい。
昨日星を探した言い訳
河野裕
全寮制中高一貫校に進学した坂口孝文は茅森良子と同級生になる。生まれつき緑色の瞳を持つ茅森は、目の色による差別がなくなったこの国で、総理大臣になることを目指していた。
茅森と親しくなった坂口は、ある秘密を打ち明けられる。茅森が図書委員になった理由は、映画監督である清寺時生の幻の脚本「イルカの唄」を探すためだった。差別や論理を取り扱ったエピソードの数々は、映像としても考えさせられる作品になりそう。
少女は卒業しない
朝井リョウ
図書館の優しい先生、退学してしまった幼馴染、生徒会の先輩、部内公認の彼氏、自分だけが知っていた歌声、たった一人の友達、そして、胸に詰まったままの、この想い。
別の高校と合併し、翌日には校舎が取り壊される地方の高校の、最後の卒業式の一日を、七人の少女の視点から描いていく。青春の全てを詰め込んだ珠玉の連作短編集。あの頃に感じた甘酸っぱさ、切なさ、焦り、悔しさ。映像で観たら色んな気持ちを蘇らせてくれそう。
また、同じ夢を見ていた
住野よる
小柳奈ノ花は「人生とは〜」が口癖のちょっぴりおませな女の子だ。ある日、彼女は草むらで一匹の猫に出会った。そして、その出会いはとても格好いいアバズレさん、手首に傷がある南さんといったような、さまざまな過去を持つ女性たちとの不思議な出会いに繋がっていく。
「幸せとは何か」を考える中で、三人は同じ夢を見てそれぞれの未来を共有する。猫を含めた登場人物のキャラクターは誰が演じるのか、キャスティングが楽しみな作品。
崩れる脳を抱きしめて
知念実希人
広島から神奈川の病院に来た研修医の碓氷は脳腫瘍を患うユカリと出会った。外の世界に怯えるユカリと過去に苛まれる碓氷。心に傷をもつ二人は次第に心を通わせていった。実習を終えて広島に戻った碓氷に、ユカリの死の知らせが。
彼女はなぜ死んだのか?幻だったのか?ユカリの足跡を追い、碓氷は横浜を彷徨う。そして、明かされる衝撃の真実。医療ミステリーでありながら、恋愛小説の胸キュン、切なさ、感動、さまざまな要素が詰まった物語は映像でも万人が涙するだろう。
ラストは初めから決まっていた
小手毬るい
自分が書いた小説を互いに読み合う大学生の二人。恋について書いてある物語に沿うように、恋に落ちていく二人。失恋中の人は癒され、慰められ、恋愛中の人は励まされ、勇気をもらえる。
読み終えたあとには「恋愛小説の書き方」がマスターできている前代未聞の恋愛小説。「人を好きになること」をまざまざと感じさせてくれる。何も考えずに楽しむことのできる恋愛映画にキュンとする人も続出するはず。
一分間だけ
原田マハ
ファッション雑誌編集者の藍は、ある日恋人とゴールデンリトリーバーのリラを飼うことに。しかし、仕事が生き甲斐の藍は日々の忙しさに翻弄されてしまい、愛が何かを次第に見失ってしまう。
恋人が去り、リラとの生活に苦痛を感じ始めたとき、リラが癌に侵されてしまう。愛犬との闘病生活の中で本当に大切なものに気づき始める。働く女性と愛犬との愛と涙の物語。犬を愛する人も、そうでない人も、感涙の映像作品になることは間違いない。
彼女は頭が悪いから
姫野カオルコ
県立高校を経て中堅女子大に入った美咲と、国家公務員宿舎で育ち東大に入ったつばさ。偶然出会って恋に落ちた二人だったが、別の女の子へ気持ちが移ったつばさは、大学の友人らが立ち上げたヤリサーの飲み会に美咲を呼ぶ。
酒を飲まされ、辱められた美咲が110番通報したことで事件が明るみに出る。ブランド意識、優越感や劣等感、学歴による序列を炙り出した社会派小説。胸糞悪いテーマでありながらも、「怖いもの見たさ」に映像で味わいたい人も多いだろう。
つみびと
山田詠美
灼熱の夏に彼女はなぜ、幼な子二人をマンションに置き去りにしたのだろうか。追い詰められた母親、死に行く子供達。痛ましい事件の深層に何があったのだろうか。実際に大阪で起きた二児餓死事件から着想を得て創作された迫真の衝撃作。
虐待の連鎖を絶妙な構成で描くことで、虐げられる者達の心理が深く掘り下げられる。登場人物の心理描写が妙にリアルで、演じる俳優陣の魂の演技を観ることができそう。
ツバキ文具店
小川糸
鎌倉で小さな文具店を営むかたわらで手紙の代書を請け負う鳩子のもとには、今日も風変わりな依頼が舞い込んでくる。借金のお断り、友人への絶縁状、天国からの手紙。
身近だからこそあえて伝えられない依頼者の心に寄り添っていくうちに、仲違いしたまま逝ってしまった祖母への想いに気付くのだった。鎌倉の四季の暮らしご近所さんやお客さんとの関わり、愛情に溢れた世界と彩りの毎日は、映像として映える作品。
強運の持ち主
瀬尾まいこ
元OLが営業の仕事で鍛えた話術を活かしてルイーズ吉田という名前の占い師に転身した。ショッピングセンターの片隅で、今日も悩みを抱える人の背中を押している。
父と母のどちらを選ぶべき?という小学生の男の子、占いが何度外れても訪れてくる女子高生、物事の終末が見えるという青年。じんわりと優しく、温かい著者の世界が詰まった連作短編小説。占い師が主人公の映像化は多くなく、全ての人に寄り添ってくれるような物語が観れそう。
オルタネート
加藤シゲアキ
高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった時代。東京のとある高校を舞台に、若者達の運命が加速していく。全国配信の料理コンテストで巻き起こった悲劇の後遺症に思い悩む蓉、母との軋轢が原因で愛を求め続ける「オルタネート」信奉者の凪津、高校を中退し、逃れるようにシェアハウスへ潜り込んだ尚志。
デジタルな世界と未分化な感情が織りなす物語の果てに、三人を待ち受ける未来とは。近未来の世界観とエモーショナルなタッチは映像化にピッタリ。
自転しながら公転する
山本文緒
東京で働いていた32歳の都は実家に戻り、地元のモールで店員として働き始める。母親が更年期障害になり、介護に強いられる日々。思うように人生がうまくいかない都は中卒の貫一と出会い、食事をすることになった。
恋愛、家族の世話、その上仕事もがんばるなんて、そんなの無理だ。答えのない問いを生きる私達を優しく包み込む物語。等身大なリアルな描写に共感する人も多いはずで、映像としてその演技を見てみたい。
夜行秘密
カツセマサヒコ
映像作家の宮部あきら、宮部に執着する早苗、バンド・ブルーガールの音色、劇団に所属する凛、家に帰ることのできない高校生の松田、秘密を持つナツメとメイ。SNSの誹謗中傷や恋、音楽の悩み、スキャンダルや炎上など、リアリティある現代ならではの題材を交えてネガティブな感情が連鎖していく。
ドロドロとした愛憎渦巻く恋愛群像劇。アルバム『夜行秘密』の収録楽曲をベースにした物語で、音楽を乗せて映像で観ることでよりエモーショナルになれそう。
生きてさえいれば
小坂流加
大好きな叔母の春桜が宛名も書かずに大切に手元に置いている手紙を見つけた甥の千景。病室を出られない春桜に代わり、千景が届けることで春桜の青春の日々を知ることに。学内でアイドル的な存在だった読者モデルの春桜に、父の形見を持ち続ける秋葉。
二人を襲う過酷な運命とは?魅力的なキャラクターと息もつかせぬ展開は映像化間違いなし。純粋な想いを貫こうとする二人を描いた奇跡のラブストーリーに、涙する人は多いだろう。
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まとめ
以上、映画化されそうな小説をご紹介しました
どれも名作ばかりなので是非読んでほしいです。Amazonや楽天で紙の本、もしくはDMMブックス、ebookjapanで電子書籍が初回割引価格で購入できます